【難題】低パフォーマンスとメンタルヘルス不調の境界線はどこにあるのか?

【難題】低パフォーマンスとメンタルヘルス不調の境界線はどこにあるのか?

職場のポジティブメンタルヘルス
Team Intellect
Jan 13, 2023

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世界保健機関(WHO)によると、パンデミックは、不安やうつ病を世界中で25%増加させるきっかけとなりました。

パンデミックがメンタルヘルスに悪影響を及ぼしたことは周知の事実ですが、新型コロナウイルス感染拡大のずっと前から、この問題は続いていました。シンガポールでは、2016年から2018年に行われた研究において、7人に1人が、生涯において精神疾患に罹患したことがわかっており、2010年に行われた調査から増加しています。

この傾向は、職場において特に顕著です。メンタルヘルスの悩みは従業員のウェルビーイングに常に影響し、経済活動に損害を与えてきました。事実、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると以下のような報告がなされています。

  • うつの症状がある人の約80%は気分の落ち込みによるある程度の機能低下があり、27%は仕事や家庭生活に深刻な困難が生じていると報告している。
  • 3カ月間のうち、うつの症状がある人は平均で4.8日仕事を欠勤し、生産性の低い日が11.5日ある。
  • うつの症状により失われる稼働日は毎年2億日にのぼると推定され、企業にとって最大440億ドルの損失をもたらすとされている。

リモートやハイブリッドなど働き方の多様化が進む一方で、不安やストレス、燃え尽きの症状は、在宅勤務や社会的な孤立といったニューノーマルによって悪化しかねません。

オフィスに戻るとしても、新型コロナ感染に対する不安と常に隣り合わせです。さらに、労働者は今やより多くの責任範囲を任され、より長い時間働き、その仕事量が原因で休暇取得の機会も少なくなっています。これらは、より大きな問題を引き起こす可能性を示唆しています。

メンタルヘルスの悪化やストレスは、身体的な能力や日々の活動機能と同様、従業員のパフォーマンスや生産性、エンゲージメントやコミュニケーション能力にも悪影響を及ぼしうるのです。

企業はウェルビーイングの重要性に着目し始めましたが、人事担当者や企業のリーダーの頭には、1つの疑問が残っていることでしょう。

「パフォーマンスの低さとメンタルヘルス不調の境界線は、どこにあるのだろうか?」

パフォーマンスの低さとメンタルヘルスの関係

メンタルヘルスの問題を抱えた従業員のパフォーマンスを管理することは、繊細でデリケートな課題です。リーダーは折に触れてこの課題に直面することになります。

メンタルヘルス悪化がパフォーマンス低下につながっているのか、それともモチベーションの低さや態度の悪さがパフォーマンス低下を引き起こしているのか、見分けることは困難です。パフォーマンスの悪い従業員が、メンタルヘルスを理由に仕事を休んだら、懲戒処分やパフォーマンス管理のような継続的な介入にも影響するでしょう。

実際のところ、従業員は日々メンタルヘルスの不調に悩まされますが、リーダーは調査してはじめて気づくものです。どの従業員にとっても、パフォーマンスマネジメントや懲戒処分はすでに十分ストレスフルなものです。メンタル不調に悩まされている従業員にとって、より辛いものとなることは言うまでもありません。

この段階においてリーダーが取り組むべきことは、低パフォーマンスのこれらの兆候に配慮とプロ意識を正しく組み合わせてうまく対処することです。

人事リーダーとしての著者の観点から、いくつかヒントを紹介します。

人格ではなく、パフォーマンスについて話し合う

パフォーマンスの悪い従業員との難しい会話においては、その人の特徴や資質よりも、行動に焦点をあてましょう。

ストレスフルな状況においては、個人の特徴や資質について話すことが、自分自身に対する攻撃と捉えられてしまう可能性があります。直近のミスなどの具体的な例を使い、判断するのではなく、事実を伝えましょう。

「最近仕事が雑ですね」というより「今月3回締め切りを守れなかったですね」というほうが、不快感が減ることがおわかりいただけると思います。

サポートと柔軟性を提供する

従業員がメンタルヘルスの不調を訴えた場合、ブレインストーミングし、一緒に最適解を見つけることが役に立ちます。

仕事に圧倒されているのか?タスクを簡単にすべきなのか?柔軟なスケジュールで改善されうるのか?もしくは完全に仕事を休む必要があるのか?

適切な質問により、従業員は助けを求めることへの抵抗感が下がります。そうすることで、必要な調整に向けた合意に至ることができるのです。

業務改善プランを考える

リーダーは可能な限り、パフォーマンスの悪い従業員が基準に見合うようなサポートを提供し、柔軟性を確保する必要があります。

合理的な調整にも関わらず低パフォーマンスが継続するようであれば、最終手段として、承認されたパフォーマンスマネジメントのフレームワークを使うことができます。業務改善プラン(Performance Improvement Plan, PIP)の策定が、それにあたります。

SHRMによると、業務改善プランは、パフォーマンスや行動に問題のある従業員に、成功への機会を提供するツールです。頻発する問題に取り組むため、具体的なタイムラインの中で目標が達成されるよう設定されています。

もちろん、この連携による努力は、従業員とマネージャー、双方が合意のうえでなければなりません。計画開始後、マネージャーは、進捗確認のため従業員の様子をチェックし、さらなる改善ポイントを話し合います。

業務改善プランはどんなときにもうまくいくのか?

業務改善プランは解雇プロセスを始める方法ではなく、双方のコミットメントがなければ実行すべきではありません。

もし従業員がコミットできないのであれば、マネージャーは懲戒処分などその他の適切な方法を検討する必要があります。従業員が信念を見せつつも、期限内に目標達成できない場合、マネージャーは計画延長を検討できます。

業務改善プランは従業員の成功を支援するためのものなのです。

低パフォーマンスとメンタルヘルスの課題に挑む

新型コロナの感染拡大が終わったとしても、メンタルヘルスの課題は従業員やビジネスに影響し続けます。世界中の組織がメンタルヘルス支援を、力強いビジネスにとって「あればいい」ものから「なくてはならない」ものと認識し始めていることには明るい兆しを感じます。

万能薬はないものの、リーダーが支援するための方法はいくつかあります。全てにおいて、予防は治療に勝ります。従業員にセルフケアを促し、メンタルヘルスケアを提供することは、リスクを軽減し、生き生きとしたチームの形成につながるでしょう。

National Alliance on Mental Illnessによると、メンタルヘルスの不調に悩む人々に共通の兆候として、集中力の欠如や、極端な気分の変化、強いイライラや怒り、他人への理解や交流することに難しさを感じることがあります。

早い段階から従業員のパフォーマンスやメンタルヘルスの懸念に対処することが常に大切です。Intellectの認定コーチや有資格カウンセラーは、パフォーマンス不調の従業員に向けたコーチングに関してあなたをガイドすることができます。詳細はこちらをご覧ください。

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社員が元気な会社は、幸せな会社

多くの社員がメンタルヘルスの課題を抱える現代。
それを放置すると、生産性の低下・バーンアウト・離職などの問題に発展します。
Intellectはそれらの問題を事前に防ぎ、組織全体のウェルビイーングのサポートをします。