職場のウェルビーイングへの注目が高まる中、「心理的安全性」という言葉も広く浸透しています。しかし、頻繁に使われているからこそ、本来の意味が失われつつあります。企業はどのようにこの価値を向上させるべきか正しく理解しないまま、心理的安全性を求めている組織もいるかもしれません。
Intellectの行動コーチであるNistha Singhによると、心理的安全性は、職場の対人関係において何らかのリスクを取ることができるという共通の考えを指します。リスクには、自分の意見を表明する、建設的批判を行う、助けを求めるなどの行動が含まれ、これらは自己をさらけ出し、無防備さを感じさせることがあります。
「心理的に安全である職場環境とは、従業員が安心して、自信を持って意見を表現できる環境です」と、Singh氏は言います。

しかし、心理的安全性は単なる流行のビジネス用語ではありません。心理的安全性は競争優位性を生み出すことへも繋がるため、戦略的優先事項として取り組む価値があります。Googleが実施した2年間の研究では、心理的安全性は結果を出すチームに共通する属性の1つであることが明らかになっています。
信頼度の高い職場では、従業員のストレスが74%減少し、燃え尽き症候群も40%軽減、その結果、欠勤日数が13%減少すると報告されています。また、活動性は106%増加し、生産性は50%向上、エンゲージメントは76%高まっています。
心理的安全性の4つの段階
一般的には一つの価値として語られる心理的安全性ですが、実際はピラミッド型の4つの異なる段階で構成されています。基盤となるのは「インクルージョン安全性」であり、その上に「学習者安全性」、「貢献者安全性」、「挑戦者安全性」が順次築かれていきます。ただし、これらの段階間の進行は必ずしも直線的ではありません。
「心理的安全性は二者択一のものではありません。チームや企業の体験に伴い変動するスライディングスケールです。異なる状況やタイミング、またはチームによって、人々は前進したり後退したり、あるいは段階を飛ばすこともあります」と、Singh氏は述べています。

インクルージョン安全性
チームメンバーが自分自身であることに安心感と受容を感じられる状態を意味します。仕事上の役割と私生活での自分を区別する必要がなく、自然にお互いとつながることができるため、従業員は「必要とされている」または「評価されている」と実感します。
学習者安全性
全てを知っているわけではないと認めるためには、一層上の自分の弱みをさらけ出すことが求められます。学習者安全性が確保されることで、チームメンバーは安心して質問を投げかけ、実験し、建設的な批評を交換することが可能になります。
貢献者安全性
学習者安全性の次の段階として、自身のユニークな能力を安心して発揮できる環境が整うと、自然とチームに貢献することができます。Singh氏によると、アイデアを自発的に発信することは心理的な脆弱性を伴うため、より難しいものとなります。
挑戦者安全性
従業員が安心して反対意見を発言し、疑問を呈し、挑戦的な意見を述べることができる状態です。「これは非常に怖さを感じることなので、最後の段階となります」と、Singh氏は言います。
これらの4段階は動的なプロセスであり、心理的安全性は単なる結果ではなく、継続的なプロセスとして捉えるべきです。一度限りの取り組みとしてではなく、企業全体で各チームにおいて維持していくことが求められます。
心理的安全性の高め方

Singh氏は、心理的安全性の核心に共感があると指摘します。彼女は共感を「他人の考えや感情を理解し、認識し、寄り添う能力」と定義します。
共感は信頼関係を構築し、支援を提供し、相手の気分を向上させるため、心理的安全性の向上に繋がります。幸い、共感は日々のコミュニケーションの中で積極的に磨くことが可能なスキルです。ですが、具体的にどこから手を付ければよいのでしょうか?
共感的な応答への3つのステップ
「共感 = empathy」という言葉そのものが、このコミュニケーションに必要な要素を表しています。
- E: 聞き手はしっかりとアイコンタクト(eye)を保つ
- M: 温かみを表現するために表情筋(muscle)を使う
- P: オープンな姿勢(posture)を維持する
- A: 自身の感情を共有する、相手の感情を反映させることは、感情に訴えるコミュニケーションスタイルに影響(affect)する
- T: 中立的なトーン(tone)を心掛ける
- H: 受け入れる気持ちで聞く(hear)
- Y: 相手が話し続けやすいよう、あなた(your)の反応を調整する
共感的な応答は大きく3つの要素から成り立ちます。例えば、同僚が仕事に必要な新しいスキルを学ぶことに苦戦していると相談されたとします。最初のステップは、純粋な関心を示すことです。
「人は、相手が自分の味方であると感じたいのです。自然と意見を共有したくなる場を共に作り上げましょう」とSingh氏は言います。これを実現するためには、親身になって耳を傾け、アイコンタクトを維持し、問題の詳細を引き出すフォローアップの質問を行うことが効果的です。
次に、同僚の感情を反映させます。場合によっては、その技術の習得が難しいことに同意し、あなた自身の苦労を共有することも良いです。「難しくて辛いですよね。私も習得に苦労しました。他にも悩んでいる人がいると思います。」などと声をかけることができます。
最後に、一般的なアドバイスで終わらず、具体的な支援を提供します。例えば、単に「粘り強く頑張って」と助言するのではなく、あなた自身の問題解決に役立った具体的なリソースを共有するのが効果的です。
このような共感の要素と3ステップのアプローチは、職場における心理的安全性の促進に大いに貢献することでしょう。

Intellectができること
共感のコミュニケーションは、ボトムアップで心理的安全性を構築しますが、組織は信頼の文化をトップダウンのアプローチで築くことも可能です。Intellectは、Shell、シンガポール国立大学、Singtelなどの一流企業において300万人を超えるユーザーを支援してきたように、あなたの組織をサポートします。
例えば、Shopbackが700を超える従業員にIntellectを導入した結果、3分の1以上の従業員が1年以内に積極的に使い始めました。一方、Tech in Asiaでは、Intellectのコーチングとセルフガイドを従業員に提供したところ、わずか8ヶ月で利用率が75%を達成しています。
CEOのWillis Wee氏自身も、エグゼクティブ・コーチングの経験を従業員と共有したことも響き、メンタルウェルビーイング、そして心理的安全性に関するオープンな対話を促進しました。また、Intellectのプラットフォームはゼロ知識暗号化技術により、各利用者のデータは完全に匿名化されていますので安心してご利用いただけます。
企業文化における心理的安全性を築き上げたい、革新したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。まずは無料資料請求へ。