睡眠は基礎的なことですが、人によっては難しくもあります。
今日のペースの速い世界では、人々は仕事や家庭、社会的な役割をいくつも掛け持ちしなくてはなりません。「できる人」でい続けなければいけないプレッシャーから、現代のビジネスパーソンは睡眠の質が削られることもしばしば。幸いにも、シンプルな運動でストレスを解消すれば、睡眠の質を高めることができます。
Johns Hopkins Medical Center for Sleepによると、運動は気分を安定させ、思考を和らげます。Intellect認定コーチであるKaren Leeはそれを「自然と入眠するために大事な認知プロセス」と呼びます。睡眠の質を上げるためにアスリート並みの運動をする必要はありませんが、適切な夜の運動にはコツがあります。それに従うことで、睡眠を促す効果が期待できるのです。
夜遅すぎる運動は安眠を妨げる?
「これは運動による不眠症として知られています。一般的に運動は不眠症を引き起こすわけではありませんが、すでに不眠症を患っている場合、運動によるアドレナリンとコルチゾールが不眠の原因になることがあります」とKarenは言います。「運動のタイミングと負荷の度合いが重要なのはこのためです」
しかし、私たちの忙しいスケジュールを考えると、多くの人は仕事を終えたあとにしか運動できません。またはシンプルに、仕事後に運動することを好む人もいるでしょう。あなたがもしそれに当てはまるなら、これからご紹介する夜の運動のヒントが役立つでしょう。
就寝の2時間前には運動を終える
これには2つの理由があります。1つは、運動によって目を覚まさせるエンドルフィンが放出されるからです。就寝の2時間前に運動をすることで、体と脳が「クールダウン」するための時間を確保できます。
2つめは、運動が体の芯の温度を上昇させるからです。朝、目覚めのために熱いシャワーを浴びることに似ています。体温が数時間後に下がれば、眠気を誘発します。
もちろん、「個人の体内リズムや、ストレス反応、コルチゾールレベルなども関連するため、一概には言えません」とKarenは言います。そのため、これは夜の運動に関する一般的なアドバイスであり、厳密なルールではないことを理解しておきましょう。
有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチを試してみる
ペースの速いスピンクラス(自転車マシンを利用したエクササイズ)から休息のヨガ・ストレッチまで、たくさんの運動があります。その中でも特に睡眠の改善におすすめの運動をご紹介します。
有酸素運動
エアロビクスとしても知られる有酸素運動は、心拍数を上げるリズミカルな動きをするエクササイズです。研究によると、長期間にわたる定期的な有酸素運動は、睡眠の質を改善する最も効果的な方法のひとつとされています。
有酸素運動にはランニングや水泳、サイクリングなどがありますが、設備が近くにない場合、以下のように家でできる運動もあります。
- その場に留まったままでの足踏みやジョギング
- ジャンピングジャック(ジャンプして両手両足を開いたり閉じたりする運動)
- スクワットジャンプ
- ランジ(足を前後、横方向に踏み出す運動)
- マウンテンクライマー(腕立て伏せの姿勢から腰を上げた状態で、ひざを胸に向けて左右交互に付き上げる運動)
- バーピー(腕立て伏せの姿勢とジャンプを組合わせた運動)
従来の睡眠衛生学では、就寝前の激しい有酸素運動は推奨されてきませんでしたが、必ずしも睡眠を阻害するわけではないとの指摘もあります。安全にいくなら、ウォーキングのような中程度の強度の有酸素運動は、すみやかに眠気をもたらし、長時間の睡眠により役立つとする研究結果も出ています。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは、耐久トレーニングとも言われますが、筋肉を増強する運動です。重量挙げやレジスタンスバンドを使った運動、スクワットや腕立て伏せのような自重エクササイズが含まれます。
ある研究によると、朝に筋力トレーニングを行うことで、夜により早く睡眠状態に入りやすくなり、夜に行うことで、睡眠の質の改善につながることがわかりました。
インターネット上には筋力トレーニング法が溢れていますが、なかでもNew York Timesの初心者向けガイドがおすすめです。自宅でできる自重運動のため、取り組みやすいものばかりです。
休息のストレッチ
寝る前に汗をかきたくないなら、ストレッチと瞑想が効果的です。柔軟性を高め、体の痛みを軽減するだけでなく、穏やかな動きと呼吸法を組み合わせることで、寝る前に気分を安らかにすることができます。ヨガや太極拳で行われる瞑想的な動作が、よりよい睡眠や生活の質につながるのはこのためです。
就寝前にできるヨガのエクササイズをいくつかご紹介します。それぞれのポーズに2分ほどかけるとよいでしょう。
- 猫のポーズ/牛のポーズ
- チャイルドポーズ
- 針の糸通しのポーズ
- 三日月のポーズ
- ベアハグとスノーエンジェルのポーズ
どの運動も効果的ですが、Karenはどれが自分にあっているか試してみることをおすすめしています。たった20~30分でも、ストレスを軽減し、心臓の動きを活発にし、体の芯の温度を上げることができます。
「私のお気に入りは、休息のためのストレッチや適度な有酸素運動です。夜の水泳や散歩もいいですね」と、カレンは言います。「睡眠を妨げるとわかっている運動は避けてください」
呼吸法でクールダウン
「呼吸エクササイズは、睡眠を助ける効果的な運動であることが証明されています。ゆっくりとした深い呼吸はメラトニンを増やし、ストレスや不安を軽減します。不安や考えすぎは心と交感神経を活性化させ、そのままにしておくと悪化し、不眠症に発展します」とKarenは言います。
4-7-8呼吸法は、「リラックス呼吸」として知られていますが、効果的なエクササイズのひとつです。4秒間息を吸い、7秒間息を止め、8秒間息を吐くことを繰り返します。もうひとつの簡単な方法は、3部呼吸法です。
- 長く深く息を吸い込みます。
- 体の感覚に意識を向けながら、息を吐ききります。
- 何度か繰り返すうちに、吐く息の長さが吸う息の2倍になるように、ゆっくり吐くようにします。
さまざまな方法がありますが、重要なのは、今ここに集中しながら、ゆっくりと深く呼吸することです。それが最もシンプルな瞑想のかたちです。
「HeadspaceやAuraなどのマインドフルネスツールやアプリも、運動する気になれないときや、体が疲労を感じているときには有効かもしれません」と、Karenは話します。
ルーティンで体と心を整える
習慣には特別な力があります。毎晩決まった時間に同じ習慣を実践すると、脳はやがてそれを睡眠の前兆と認識するようになります。つまり、夜のルーティンが、体に休むよう伝えてくれるのです。
「私はiPhoneにリマインダーをセットして、午後9時30分までに寝るための準備を始めるようにしています」とKarenは言います。「心と体を落ち着かせるための活動なら何でもいいのです。温かい湯船に浸かる、本を読む、ジャーナリングをする、その日の活動を振り返る、瞑想する、などなど」
携帯電話を完全にOFFにすることは難しいかもしれませんが、就寝前にTikTokを開くのは睡眠に効果的とは言えません。無心でスマホをスクロールし続けるのではなく、Intellectのガイド付きジャーナルを活用して、ストレスやネガティブな考えを書き出してみるのはいかがでしょうか。それでもまだ眠れない場合は、睡眠レスキューセッションで心を落ち着かせましょう。
日々習慣づけることで、睡眠もそのうちに習慣化されるでしょう。