The Straits Timesの最近の記事で、新型コロナウイルスの世界的大流行の最中、中間管理職の仕事量が増えているとの報道がありました。
この理由として、彼らは会社の上層部に応えながら、一般社員をマネジメントする必要があることが挙げられます。
実際のところ、同記事では調査対象の中間管理職のうち61%が日々時間外労働をしていると報告されています。それだけでなく、パンデミックの期間中、多くの管理職は自身のケアよりも、一般社員と関わりを持ち、彼らのウェルビーイングを配慮することを優先する必要もありました。
上下からのプレッシャーに直面することから、中間管理職はよく「板挟み」にあっていると表現されます。ミドルマネジメント層に共通する課題は、時間外労働や自己成長の停滞感、目的や働きがいの欠如などが挙げられます。
中間管理職は、特有の様々な課題に対応しながら、どのように自身のウェルビーイングに気を配ることができるのでしょうか?
この記事では、セルフケアを実践し、メンタルや感情、体の健康に配慮することで、中間管理職が自身のウェルビーイングを主体的に高めていく方法について説明します。
コントロールできることに集中する
上下両方からプレッシャーを感じていると、仕事が手に負えないと感じやすくなります。
セルフケアを実践するために、コントロールできないもの(自分の上司が誰か、会社の方針、社会の経済状況など)と、できるもの(自分の反応、エネルギーの配分、行動など)のリストを書き出してみましょう。
コントロールの範疇にあるものごとに注目することで、無力感が減り、より活力を感じられるようになります。
1週間の優先事項を定める
様々なことが目の前にあると、すべてが緊急で重要なように思えるかもしれません。
タスクリストの項目を検討し、その週に集中すべき重要なことを決めましょう。
次に、日ごとに最も重要な事柄に項目を絞ります。緊急のミーティングや上層部からの急なリクエストに応えるため、予定に余裕を持たせておきましょう。
感情が乱れたらセルフケアを行う
セルフケアは小さなことから始められます。その瞬間にどう感じているのかに気づくことで感情をうまくコントロールできます。特に一日が長く感じられ、ストレスレベルが高いときに有効です。
オフィスの静かな場所や、もし在宅勤務していればデスクで、目を閉じて何度か深呼吸しましょう。呼吸に集中し、落ち着いてゆったりと息を吸い、ストレスを吐き出します。
心休まる音楽を聴きながらでもよいでしょう。日々実践することで、心を落ち着かせることができます。
より大きな目的を見つける
仕事内容がありきたりで、先行きが暗いと感じるかもしれません。プレッシャーも相まって「一体何のために一生懸命働いているのか」と思うこともあるでしょう。
そのような時は、担当しているプロジェクトや手を取られているタスクが、より大きな目的の実現にどう貢献しているか考えてみましょう。
例えば、製薬会社のコミュニケーションチームをマネジメントしているとして、チームのマーケティングキャンペーンがうまくいったなら、人々の苦痛を和らげる可能性のある製品を世に広めるという目的の実現に繋がります。
目的は、強いモチベーションが湧いてくるような、内発的動機になるのです。
明確に境界線を引く
板挟みのポジションでは、明確な境界線を引くことが重要です。
週単位でミーティング時間を制限したり、仕事をうまくこなす余力が自分やチームに残っていないならプロジェクトを断ったりすることができます。
個人としては、毎日仕事を終える時間を明確に設定したり、セルフケアを行ってエネルギーを充電する休みを定期的に取りましょう。
忙しくプレッシャーが強いほど、自分自身をケアする必要があります。適切に自分をケアできなければ、燃え尽き症候群になってしまう危険もあります。
生活の基盤を整える
忙しいときほど、気分よく生産的でいるために必要なことを忘れがちです。十分な睡眠や健康的な食事、定期的な運動を心がけましょう。
仕事中でも、こまめに休みを取り、適切な食事を心がけることで、日中の活力を保つことができます。
メンターやコーチを見つける
メンターやコーチを持つことは、負担の多い中間管理職の役割をこなしながら、自己成長することに役立ちます。
メンターやコーチは、相談役になったり、アドバイスをしたり、抱えている課題をシェアできる相手となることで、安心感を得ることができます。ときに励まし役となり、あなたの強みや能力を再認識させてくれることもあるでしょう。
仕事のネットワークにつながる手助けもしてくれるかもしれません。そのネットワークにより成長し、周囲から学ぶことができるでしょう。
すべての問題を一人で解決する必要はありません。一人でやろうとすると、プレッシャーがかかり、孤独を感じてしまうことを忘れないでください。
リスキリングに注力する
ミドルマネジメント層は、与えられた役割で成功するのために、身につけるべき新しいスキルがたくさん存在します。その重要なスキルの中で磨くべき領域を特定し、関連する講座やコースを受講して、リスキリングを優先事項に設定しましょう。
社内に関連した認定コース等があれば、新しい視点や気づきを与えてくれる同僚のネットワークができるので、おすすめです。
ありのままの自分を思いやる
批判的な思考が働きすぎ、「自分はこれではだめだ」と思ってしまったり、物事がうまくいかないとき「自分のせいだ」と感じてしまうかもしれません。
そのようなネガティブ思考は、自信喪失に繋がり、セルフイメージに悪影響を及ぼします。そのような時にできるのは、ネガティブ思考をそのまま受け入れるのではなく、一息ついて、自分に優しく話しかけることです。
「私の置かれた状況を考えれば、ベストを尽くしている」といったポジティブな言葉でセルフトークすることにより、私たちは安心を感じることができます。
さらに踏み込んで、ネガティブ思考との辻褄が合わなくなるような事実を見つけることで、行きすぎた自己批判に歯止めをかけられます。「うまくやれていることを示す証拠はないか?」と考えてみるのです。
業務がうまく実行できていなければ、今のポジションに昇格していないはずです。こうして、頭の中の批評家を論破することもできるかもしれません。
他人を思いやるには、まず自分から
これまで見てきたウェルビーイングの改善策を活用することで、中間管理職の方は自信を持ち、自分が役職に適任だと思えるようになるでしょう。
もちろん、トレーニングや明確なコミュニケーション、正しい評価によるサポートがしっかり行われるよう、上司が努力することは大切です。
つまるところ、中間管理職は重要な役割なのです。ミドルマネジメント層がやる気をそがれたり、疲弊したり、燃え尽きたりした場合、チームも同じように感じていることがほとんどなのですから。