異文化コミュニケーションにおいて、相手の文化的背景やコミュニケーションスタイルの違いを認識し、受け入れ、理解しようとする柔軟な姿勢が欠かせません。特に多様な価値観が交わるグローバルな組織においては、マネジメント層やリーダー自身がロールモデルとなり、状況に応じて行動する力が求められます。自分と相手が生まれ育った環境や社会経験などから成形されたコミュニケーションスタイルを理解した上でアプローチすることで、異文化コミュニケーション力を磨くことができます。
前半の記事では、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の概念と、文化で異なるコミュニケーションのスタイルをご紹介しました。それを踏まえ、本記事では、多様な価値観が共存する職場において、マネジメント層やチームリーダーがコミュニケーションの質を高めるための具体的なヒントをご紹介します。

ローコンテクストなチームと働く時のポイント
ローコンテクストなコミュニケーションスタイルでは、非言語的な要素よりも直接的な言葉がコミュニケーションの基本となるため、淡々としたやり取りを好む傾向があります。
1. 曖昧な表現を避け、具体的に伝える
相手が状況を察して意図を汲み取るとは限りません。特に、プロジェクトの締め切りや意思決定がかかわる状況では、具体的な期待値やあなたの意図がはっきりと伝わる言葉を選びましょう。
❌「なる早で対応できますか?」
⭕️「今週金曜日までに完成できますか?なるべく早く仕上げていただけると助かります。」
2. 口頭だけでなく書面でも伝える
会話だけでなく、書面で要点を残すことで、解釈の違いを防ぎ、お互いの理解を確認することができます。例えば、会話でタスクをお願いした後は、メッセージやメールで要点をまとめて送ったり、会議の後は議事録を共有しましょう。双方が確認できる形で情報を残せば、コミュニケーションスタイルを問わず「言った・言ってない」などのトラブル防止にもつながります。
3. ストレートな返信を受け止める
ローコンテクスト文化の相手と会話する際、直接的かつ淡々とした返信が来る可能性があります。短く、率直な意見に冷たさを感じてしまうかもしれませんが、自分への個人的な批判や攻撃と捉えず、建設的な意見として受け止める姿勢を意識しましょう。

ハイコンテクストなチームと働く時のポイント
ハイコンテクストなコミュニケーションスタイルでは、言葉にされていない文脈や非言語的な要素から伝わる情報に重きを置くため、柔らかい表現を好み、チーム全体の調和を重視する傾向があります。
1. 柔らかい表現を足して、バランスを取る
直接的なコミュニケーションに慣れていない相手は、時にははローコンテクストなコミュニケーションに驚くかもしれません。特にネガティブなフィードバックを伝える際は、間接的な表現などでワンクッション入れることを意識すると摩擦を防ぐのに効果的です。
❌「その企画は上手くいかないと思います。」
⭕️「その企画にはいくつか課題があると個人的には感じます。例えば、〜」
2. 不明点はその場で確認する
相手が遠回しな表現を好む場合、意図が曖昧になることがあります。「この理解で合っていますか?」などと確認をとり、ミスコミュニケーションやすれ違いを避けることができます。
3. 即答を迫らない
相手は迅速な意思決定よりも、返事をする前に考える時間を取ったり、チーム全体としての合意を重視するかもしれません。その場での即答を迫るのではなく、「少し考える時間を取りますか?」などと配慮ある言葉を添えることで、意見が述べやすい場を作りましょう。
多様性を組織の力に

文化の違いから生じる誤解などのトラブルを防ぎ、心理的安全性の高い職場環境づくりに繋げていくためにも、リーダーは異文化理解を日々のコミュニケーションに活かす姿勢が求められます。文化の違いは、壁ではなく可能性です。従業員一人ひとりが「相手の伝え方・受け取り方」に意識を向けてコミュニケーションをとることで、多様性はチームの強みとなり、組織全体の力を引き上げてくれるはずです。
Intellectとは
Intellectは40以上の言語に対応したウェルビーイングソリューションとして、多国籍従業員を抱えるグローバル企業や団体をサポートしています。プライベートでの気分の浮き沈みから仕事上のモチベーション管理など、従業員が直面する課題に対して母国語での1対1のコーチングやセルフケアプログラムを提供し、マネジメントではカバーしきれないサポートを提供しています。心理的安全性の高い組織づくりにご活用ください。
2025年4月30日まで1ヶ月無料+コーチング無料体験キャンペーンを実施中!ぜひお気軽にお申し込みください。
