シンガポールや日本を含むアジア太平洋地域(APAC)の企業において、職場におけるメンタルヘルスサポートの拡充がまだまだ行き届いていないことが近年話題にあげられます。
従業員が燃え尽き症候群やメンタルヘルス不調に悩まされることが多くなり、メンタルマネジメントサービスを提供する職場に優先的に就職するようになる傾向が近年見受けられるようになってきました。
このトレンドの影響は、膨大な不満を抱えた従業員が、サポートのない職場から去ることを選らぶ現代の潮流として世界中で見受けられるものになっています。
この時代の節目を迎え、組織は福利厚生に関するプロセスの見直しを迫られ、APACでは雇用主が職場でのウェルビーイングを優先させるための措置をとる動きが活発になっています。
生産性の低下や従業員のエンゲージメントの低下など、メンタルヘルスが組織のコストに与える悪影響に関する確かなデータも近年の研究で明らかになっています。
これまで以上に、メンタルヘルスは企業の優先事項でも最優先の課題として認識されています。例えば日本の企業であれば、一定の会社規模を超えるとストレスチェックや産業医の配置が法令化されていますが、とりわけ多くの企業が従業員支援プログラム(EAP)の整備に取り組んできました。
一方で、EAPサービスがどこまで効果的なのか、大きな疑問が残ることも確かです。
EAPは効果的なのか?
EAPを一般的な定義で表すと、従業員のパフォーマンスに影響を与える個人的または仕事上の問題、悩みを解決するための、企業向けの介入型プログラムです。EAPは通常、メンタルヘルス、栄養、運動、慢性疾患管理などを介入対象としています。
例えばintellect発祥の地であるシンガポールでは、2000年代初頭に保健省が健康増進委員会を設立したことがEAPのルーツとされています。2010年までには、4つの職場のうち1つがメンタルウェルビーイングプログラムを提供するようになりました。シンガポールでは、精神疾患の認知度を下げる取り組みが進められており、労働省に登録されているEAPプロバイダーも増え続けています。これらのEAPプロバイダーは、サポート用のホットライン、カウンセリング、ウェビナー、メンタルウェルネスのリソースの提供など、さまざまなサービスを提供しています。
企業の人事部は、従業員へのサポートとしてEAPを福利厚生パッケージに組みますが、通常、従業員からEAPプロバイダーに連絡を取り、必要が生じたときだけ支援を求めるという消極的な方法が取られることが現実です。
調査によると、シンガポールでのEAPの利用率は平均してわずか3~6%に対し、日本では1~2%とさらに低水準の利用率。そのため、メンタルヘルスのアプリの台頭は、従業員の福利厚生のあり方に変化をもたらすものとして歓迎されており、例えば、Intellectの平均利用率は20~40%で、従来のEAPと比較すると10倍近く向上しています。
なぜEAPの利用率が低いのか
このようにEAPには賛否両論ありますが、例えばシンガポールでは20年以上の歴史があるにもかかわらず、地域的にも(シンガポールの労働者はアジアで最も燃え尽きやすいという調査結果がある)燃え尽き症候群を軽減させることはほとんどできていません。なぜでしょうか?
まず、利用率の低さの理由として、アクセスの悪さと使い勝手の悪さが挙げられます。セラピーセッションの予約には通常6週間もかかるため、その間、従業員のメンタルヘルスは著しく悪化する可能性があります。この点日本のEAPサービスや外部メンタルクリニックの受診においても、同じような状況が起こっています。そのため、オンデマンドの当日予約は、インテレクトの最も魅力的なサービスの一つです。
第二に、EAPは先手というより、後手に回る傾向があることが挙げられます。つまり、従業員は問題を抱えた時点でEAPサービスに連絡を取るため、問題が起きてから対処すればいいという慣習に陥ってしまい、「予防する」という概念が醸成されにくくなってしまうのです。心の健康を保つには定期的なメンテナンスが必要であることは周知の事実ですが、燃え尽き症候群の発症後に治療を受けることは,
こと日本においては人的資本経営の観点から社員と企業の両方に負担をかけます。さらに、限られた回数のセッションだけでは、立ち直るのに十分でない可能性もあり、その後のキャリア復帰・京成といった観点からも大きな懸念が残ります。
第三に、EAPの有効性には、地域性が欠けているという問題がある。EAPの多くはグローバル本社から発信されるため、コミュニケーション不足により、従業員がEAPの存在を知らない場合が散見されます。また、グローバルなEAPは、文化的に適応していない可能性もあり、例えば、アジアの職場文化や家族の絆に悩む従業員が米国にいるセラピストに相談しても、共感してもらえないかもしれません。一方、インテレクトは、地域ごとに異なるコーチやカウンセラーを擁し、こうしたギャップを埋めることができます。
最後に、EAPの対応プロセスもユーザーを遠ざける原因の一つです。アセスメントのために、ユーザーは個人的な質問に20分も電話で答えなければならず、社員は、EAPに自分の情報が過度に提供されていると感じてしまいます。機密保持の問題もあります。ユーザーは、”自分のデータが組織に共有されていたらどうしよう “と考えてしまうのも容易に想像できます。一方、インテレクトは、ゼロナレッジ・エンクリプション技術と、個人情報保護法への準拠により、こうした懸念を払拭しています。