【人事向け】ハイブリッドワークは社員のメンタル負荷が高くなる3つの科学的根拠

【人事向け】ハイブリッドワークは社員のメンタル負荷が高くなる3つの科学的根拠

職場のポジティブメンタルヘルス
Team Intellect
Mar 9, 2023

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理論上、ハイブリッドワークは素晴らしい考えのように思えます。

従業員は在宅勤務の柔軟性を享受しつつ、オフィスでの対面によるエンゲージメントの機会もあることで、それぞれのよさを活かすことができます。多くの経営層は、ハイブリッドワークを新しい働き方の標準と捉え、職場文化への意識を高めながら、ワークライフバランスを改善する鍵となると信じています。

しかし実際のところ、ハイブリッドワークは従業員のウェルビーイングに想像以上の悪影響を及ぼす可能性があります。

在宅勤務とオフィス勤務を切り替える選択肢は柔軟性を高める一方で、曖昧な中間地点を生み出し、さらなる心理的なストレスを引き起こし、仕事の流れを中断させます。

この精神的な負担は、働き手にも、管理職にもかかるものです。2020年に行われたMercer Southの研究では、従業員の22%が以前よりも仕事の効率が落ちたと回答し、管理職の39%が同様の回答をしました。

ハイブリッドワークの一体何がそれほどまでの疲れを引き起こしているのでしょうか?

ハイブリッドワークでは無意識のタスクが発生する

ハイブリッドワークの調整により発生する心理的負担の増加は、すでにある仕事を複雑にし、精神や感情のリソースにさらなる負担を与えます。

選択は自由と柔軟性を与える一方で、決断疲れのリスクを引き起こします。

その日働く時間と場所を決めるためには、様々な視点から何が最適かを考える必要があり、それによりさらなる認知のリソースを費やす必要があると、INSEADにて組織行動学の准教授を務めるMark Mortensenは「決断疲れは集中力や意思、生産性にダメージを与える」と述べています。

さらに、在宅勤務とオフィス出勤のあいだの、ちょうどよいバランスを保つためのメタレベルの調整業務もあります。ハイブリッドワークの従業員は、エンゲージメントや貢献を示すため、同僚やチーム、上司に対して自分がどのように見えるべきか考える必要があるのです。

ハイブリッドワークが心理的安全性をむしばむ可能性

ハイブリッドワークは、デジタルでの疾病就業のリスクを高めることも課題のひとつです。

完全なリモートワークであれば最初から信頼のもと制度が導入されていることがよくありますが、ハイブリッドワークにおいては、在宅勤務制度を個人の都合のよいように使っているのではないことを、上司に証明する負担が生じます。

そのためにデジタルツール上で常に「オン」でい続け、リモート勤務日に時間外労働をするなどし、結果、働きすぎや燃え尽き症候群につながってしまうのです。

訳: 職場で忙しいフリをするのは疲れるなあ

疾病就業は生産性を高めることのない見せかけのものであり、人的、財務的リソースを非効率に使うため、シンガポールでは企業に76億シンガポールドルの損失を与えていると推定されています。従業員は、実際に行った仕事量に関わらず、物理的に存在が認識されることが、貢献やハードワークとみなされていると感じています。

企業やその経営陣が、インセンティブや評価指標を、実際の貢献よりも勤怠に固定すると、この状態はさらに悪化します。

ハイブリッドワークが招く精神的な混乱や動揺

予測できて一貫性のあるルーティンは、安定性や予測可能性を高め、安心感やコントロール感覚を与え、ストレスと不安を緩和するために重要なものです。

対照的に、在宅勤務モードとオフィス勤務モードを短いスパンで頻繁に切り替えることで、多くの従業員は感情的にも精神的にも消耗してしまいます。

2つの職場を切り替え、2つの異なる日々の仕事習慣を作り上げることは、認知のリソースを少しずつ削っていき、無意識の感情的、精神的な疲弊につながります。

このことは、ハイブリッドワークの従業員と比較し、完全リモートもしくは完全オフィス勤務の従業員はメンタルウェルネスがよい状態にあると報告していることを裏付けます。

異なる仕事環境や仕事前のルーティーンの間を行き来して適応するエネルギーが少なくて済むのです。

「過去に経験のあることか、しばらく経験していることでなければ、ハイブリッドワークへの急激な移行は難しいものになるでしょう」と、Intellectにてリーダーシップおよび行動に関するメンタルヘルスのコーチを務めるThais Pietroは言います。「適応の過程において、行き詰まりや負担を感じたり、正しい選択だったのか不安になることのある、他国への移住に似ています」

お互いのためになるハイブリッドワークには、従業員と上司の連携が不可欠

ハイブリッドワークには多くの利点がある一方、完全なリモート勤務やオフィス勤務とは違う、特別なコストや課題があることを認識しておく必要があります。

それでは、ハイブリッドワークを有効活用するための秘訣はなんでしょうか。

管理職にとって、従業員が調和のとれたハイブリッドワークを実現するための最も重要な要素は、連携することです。

ハイブリッドワークは全員に最適なものではありません。完全リモート勤務のほうが結果を出せる従業員もいるでしょうし、週5日オフィスにいたほうがよい従業員もいるでしょう。

仕事のスケジュールを指示するよりも、上司はそれぞれにとって何がベストなのか、チームと話し合うべきです。

Intellectでリーダーシップおよび認定コーチであるThais Pietro氏

Thaisは以下のようにアドバイスします。

「通勤に価値をもたせるのです。ハイブリッドワークでは、週に数日オフィスに戻るよう、ただ単に従業員に伝えるのではなく、従業員がオフィスにいる価値を実感でき、彼らのオフィスでの時間を最大限に活用できる、エンゲージメントを高める体験を作るべきです。ネットワーキングや一人ひとりとの関係性づくりを優先すべき新入社員に対しては特に、上司は関係構築の大切さを強調すべきです」

彼女はさらに、従業員の自己効力感を重視したマネジメントスタイルを提唱します。

「経営層は、時間により意識的になるよう従業員に勧めるべきです。可能であれば、従業員自身が勤務日時を柔軟に設定できるようにしてください」

従業員にスケジュールへの管理権と自律性を与え、セルフケアを行う余裕と仕事をやり遂げるための信頼を与えることで、主体性や自身の生産性への説明責任感覚が芽生えます。

さらに重要なのは、ハイブリッドワークは全員に同じようにあてはめられるものではないことを、管理職側が理解しておく必要があるということです。ハイブリッドワークは個人によって捉え方が異なり、週に3日なのか、月に2日なのか、毎四半期ごとに1週間なのかでも違ってきます。

「わたしたちは、優れたリーダーシップがこれまで以上に重要とされる転換期にいます。管理職にとっては、柔軟な働き方を許可することが、より幸せで、活気があり、生産性の高いチームをもたらすことになるでしょう」と、Thaisは言います。

「変化に対する健全なマインドセットと姿勢を手に入れたい従業員にとっては、何がうまくいっているのか、調整すべきことは何か、感情やメンタルヘルスにどう影響しているのかについて、上司とのオープンな会話を持つことが重要です」と、彼女は信じています。「そうしてはじめてハイブリッドワークが持続可能なものになるのです」

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多くの社員がメンタルヘルスの課題を抱える現代。
それを放置すると、生産性の低下・バーンアウト・離職などの問題に発展します。
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