ストレスチェック制度の目的と重要性:後悔しない職場づくりのために①

「あの時、何かできたのではないか」――職場で社員のメンタル不調に気づけず、後悔した経験はありませんか?社員が休職や退職に至ってしまってからでは、多くの場合手遅れとなり、企業にとっても大きな損失です。

本稿では、企業向けコンサルタントと公認心理師の立場から、企業のメンタルヘルス対策において、ストレスチェック制度とその後の対応がいかに不可欠であるかを解説します。

ストレスチェック制度の法的義務(日本)

日本の企業におけるストレスチェック制度は、労働安全衛生法の改正により2015年12月1日から常時50人以上の労働者を使用する事業場で義務化されました。

現在は50人未満の事業所では努力義務ですが、2025年5月8日に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が成立し、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が今後法的措置として義務化されることが正式に決定されました。

これにより、今後企業は従業員のメンタルヘルスケアへの対応に、より一層焦点を置く必要性が高まっています。

職場のストレスの現状

エン・ジャパンの調査によれば、新入社員が3ヶ月で離職した際の企業側の損失は約187.5万円に達します。社歴がより長い従業員の場合、既に支払われた人件費に加え、ノウハウや知識の喪失、顧客関係やチームへの悪影響など、目に見えない損失がさらに拡大する可能性があります。

【新入社員が3ヶ月で離職した場合の損失内訳】(エンジャパン・コスト損失(概算)より)

  • 採用経費:62.5万円
  • 退職した社員の在籍費用:112.5万円(給与、法定福利厚生費、交通費などを含む)
  • 教育研修費:12.5万円(人事や研修を実施した現場社員の人件費などを含む)
    合計:187.5万円

近年、職場における過度なストレスによる労働者のメンタルヘルス不調が多発しており、多くの日本企業が課題を抱えている現状が示されています。

2023年の厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活で強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は82.7%に達しています。

また、令和4年11月から令和5年10月までの調査によると1年間に、メンタルヘルス不調により1ヶ月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%であり、これはおよそ10事業所のうち1事業所で社員のメンタルヘルス問題が表面化している計算になります。

潜在的な問題を抱える企業はさらに多いと推測されるため、早期にメンタルヘルス不調者への対策や予防を導入することは、企業と従業員の双方にとって有益であると考えられます。

ストレスチェック導入の意義

企業がストレスチェックを導入する意義は多岐にわたりますが、まず従業員のストレス状況を客観的に把握できる点が挙げられます。ストレスチェックを実施することで、社内でのストレス度合いを数値化し、可視化することが可能です。これにより、企業全体としてどのような課題に取り組むべきか、優先順位を明確にすることができます。

さらに、集団分析の結果を活用することで、部署別や職種別など、特定のグループにおけるストレス傾向を把握し、より具体的な対策を検討することが可能になります。例えば、特定の部署で高いストレス反応が見られる場合、その原因を詳細に調査し、労働環境の改善や業務分担の見直しといった対策を講じることができます。

早期にメンタルヘルスの問題を把握し、適切なサポートを提供することで、従業員の心理的健康を維持し、重篤な状態に陥ることを防ぐことができます。結果として、休職や離職等の採用・労務リスクの低減に繋がり、人材の定着率向上、ひいては職場全体の信頼性向上に大きく貢献します。従業員が安心して働ける環境を提供することは、企業の生産性向上にも寄与します。

次回の記事では、ストレスチェック後のデータ活用方法の詳細と、メンタルヘルス不調者への対応策を解説いたします。

参考文献:


PROFILE

公認心理師 Y

私は、日本の公認心理師であり、アメリカ・オレゴン州にて心理カウンセリングの修士号を取得しました。
10年以上の臨床経験を持ち、これまでに子供、青少年、大人、家族を対象としたカウンセリングを提供してきました。また産業領域では職場のメンタルヘルスケアにも従事し、職場でのハラスメント、キャリア、従業員の心理的ウェルビーイングに関する問題に取り組んできました。

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