おおよそ職場の82.7%の方が職場でストレスを感じている(厚生労働省の調査)と回答している結果を見ても企業における従業員のメンタルヘルスケアは、近年ますます重要性を増しています。ストレスチェック制度は、その中でも重要な役割を担っており、単なる義務的な手続きではなく、従業員の健康と企業の持続的な成長を支えるための戦略的な取り組みとして位置づけられます。
ストレスチェック実施後の対応や高ストレス者へのケアには、専門的な支援が重要です。カウンセリングや復職支援、職場環境改善、集団分析など多面的な対応を実施する事で、従業員の心身の健康維持や企業全体のメンタルヘルス対策の質を高めることができます。そのため、ストレスチェック後のフォロー体制を導入を検討する事が強く推奨されます。
さらに、従業員が安心して相談できる環境を確保することが不可欠です。具体的には、相談内容が会社に知られる心配がなく、従業員のプライバシーが確実に保護されるような環境を整えることです。
企業が対応可能なフォローアップについて以下に記載いたします。
高ストレス後のフォロー
高ストレスと判定された従業員には、産業医による面接指導に加え、専門家によるカウンセリング支援も推奨されます。これにより、医師の面接だけでは対応しきれない日常的な悩みにも対応可能になります。
自発的な相談環境の整備
従業員自身がストレスやメンタル不調に気づいた際に、自発的に相談できる仕組みも重要です。ストレスセルフチェックツールの導入、メンタルヘルスに関するeラーニング、介護・育児・借金といったプライベートな問題への対応など、自発的な相談システムを構築することで、従業員のワークライフバランスをサポートできます。
管理職者、人事担当者へのサポート
管理職、及び場合によっては人事担当者へのサポート環境の提供も推奨されます。部下やハラスメント対応に悩む管理職に対し、専門家による職場改善策の立案サポートなどを導入することで、職場全体の支援につながります。これにより、問題社員対応やメンタル疾患の復職判断など、状況に応じた柔軟なサポートが可能となり、これまで手が届きにくかった領域まで、きめ細やかな支援を実現します。
集団分析・具体的な支援
ストレスチェックの集団分析結果に基づき、外部専門家による職場改善提案、ファシリテーション、改善ワークショップ、コミュニケーション研修、職場ヒアリング・サーベイとそのフィードバック支援など、現場の具体的なニーズに合わせたサポートの導入も推奨されます。
専門家によるサポート
臨床心理士といった専門家による質の高いサポートは、産業医よりも柔軟かつ迅速な対応が可能な場合があり、従業員が問題を抱えた際に早期に支援を受けられる利点があります。メンタルヘルスだけでなく、私生活の悩みなど、幅広い相談に対応できるため、従業員の抱える多様な問題に対処可能です。
これら全てに対応できるものとしてEAP(従業員支援プログラム)などの導入が可能です。職員のサポート対応へお悩みの方は先ずは専門家に相談する事を推奨いたします。企業が直面する従業員のメンタルヘルス問題は複雑であり、多岐にわたる課題を抱えています。ストレスチェック制度の導入は、その第一歩として非常に有効ですが、それだけで全ての問題が解決するわけではありません。ストレスチェックによって浮き彫りになった課題に対して、具体的な対策を講じ、従業員が安心して働ける環境を整備することが不可欠です。
従業員の健康は企業の財産です。積極的な投資を検討し、従業員が能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指す事が必要です。
参考文献:
PROFILE

公認心理師 Y
私は、日本の公認心理師であり、アメリカ・オレゴン州にて心理カウンセリングの修士号を取得しました。
10年以上の臨床経験を持ち、これまでに子供、青少年、大人、家族を対象としたカウンセリングを提供してきました。また産業領域では職場のメンタルヘルスケアにも従事し、職場でのハラスメント、キャリア、従業員の心理的ウェルビーイングに関する問題に取り組んできました。


